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実家がゴミ屋敷結婚への大きな障壁
自分の生まれ育った実家が、いわゆる「ゴミ屋敷」である。これは、結婚を考える上で、非常に重く、デリケートな問題となり得ます。愛するパートナーとの将来を夢見ながらも、実家の状況が影を落とし、大きな不安や罪悪感に苛まれる人は少なくありません。最大の悩みは、いつ、どのようにパートナーに打ち明けるか、そして結婚の挨拶で実家を見せることへの恐怖でしょう。「こんな家を見られたら嫌われるのではないか」「結婚を反対されるのではないか」という不安から、なかなか言い出せずにいるケースは多いです。しかし、隠し通せるものではありません。結婚は二人だけの問題ではなく、家族との関わりも生まれます。遅かれ早かれ知られる事実であるならば、誠意をもって正直に話すことが、結果的に信頼関係を深めることにつながるかもしれません。打ち明ける際は、単に「実家が汚い」と伝えるだけでなく、なぜそうなってしまったのか、自分自身はどう考えているのか、そして将来的にどうしていきたいのかを具体的に話すことが大切です。パートナーがその事実をどう受け止めるかは分かりませんが、少なくとも正直に向き合う姿勢を示すことはできます。結婚挨拶の場面は、さらに大きなハードルです。事前にできる限りの片付けをするのはもちろんですが、長年のゴミ屋敷状態を短期間で完全に改善するのは難しい場合が多いでしょう。パートナーに状況を理解してもらい、一緒に乗り越える覚悟を持ってもらうか、あるいは、挨拶の場所を実家以外にするなどの工夫も必要になるかもしれません。また、結婚後も実家の問題は続きます。将来的な親の介護の問題はどうするのか。ゴミ屋敷の片付けや維持管理に、自分たちがどこまで関わる必要があるのか。経済的な負担が発生する可能性はないか。これらの現実的な問題についても、結婚前にパートナーとしっかりと話し合い、共通認識を持っておくことが不可欠です。実家がゴミ屋敷であることは、決して本人の責任ではありません。しかし、その事実から目を背けず、パートナーと誠実に向き合い、二人で乗り越えていく覚悟を持つことが、幸せな結婚への第一歩となるでしょう。
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ゴミ屋敷退去時の原状回復義務とは
賃貸物件を退去する際には、「原状回復義務」が発生します。これは、借りていた部屋を入居時の状態に戻して大家さんに返還する義務のことです。しかし、もし部屋がゴミ屋敷状態になってしまっていた場合、この原状回復はどこまで求められるのでしょうか。費用負担はどうなるのでしょうか。原状回復というと、「完全に元通りにしなければならない」と思いがちですが、法律上の考え方は少し異なります。賃貸借契約における原状回復とは、借り主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような損耗・毀損を復旧することを指します。つまり、普通に生活していて生じる自然な損耗や経年劣化(例えば、壁紙の日焼けや、家具の設置による床のわずかなへこみなど)については、借り主が修繕費用を負担する必要はありません。しかし、ゴミ屋敷の場合は、この「通常の使用を超える損耗・毀損」に該当する可能性が非常に高いと言えます。大量のゴミを長期間放置したことによる床や壁のシミ、カビの発生、設備の汚損や破損、タバコのヤニ汚れ(喫煙が原因の場合)、ペットによる傷や臭い(ペット飼育が原因の場合)などは、借り主の責任によるものと判断されるでしょう。また、ゴミ屋敷の清掃自体も、通常のハウスクリーニングの範囲をはるかに超えるため、その費用は原則として借り主負担となります。ゴミの撤去費用、消臭・消毒費用、害虫駆除費用なども含まれます。退去時に、大家さんや管理会社は部屋の状態を確認し、原状回復が必要な箇所と費用を査定します。その費用は、通常、入居時に預けた敷金から差し引かれますが、ゴミ屋敷の場合、敷金だけでは到底足りないケースがほとんどです。不足分については、別途借り主に対して請求されることになります。もし、請求された費用に納得がいかない場合は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」などを参考に、大家さん側と話し合うことも可能ですが、ゴミ屋敷という状況を考えると、借り主側の負担が大きくなることは避けられないでしょう。退去時のトラブルを避けるためにも、できる限りゴミ屋敷の状態を改善しておくことが望ましいですが、それが難しい場合でも、正直に状況を伝え、誠実に対応する姿勢が重要になります。