ゴミ屋敷の家財を全て処分する「全撤去」を業者に依頼する場合、気になるのはその費用です。一般的な賃貸物件のワンルームであっても、ゴミの堆積具合によっては数十万円、一軒家ともなれば百万円を超える請求が来ることも珍しくありません。この費用の内訳は、大きく分けて「人件費」「車両運搬費」「処分費」の三つで構成されています。ゴミ屋敷の場合、ゴミの種類が分別されていないため、業者が手作業で仕分けを行う必要があり、そのための人件費が跳ね上がります。また、廃プラスチックや木くず、可燃ゴミといった廃棄物の処分費も年々上昇しており、特に全部捨てるとなると、その総量は数トンに及ぶため、処分費だけで多額のコストがかかります。少しでもこの費用を抑えるための節約術としては、まず「自分でできる範囲の分別」を事前に行うことが挙げられます。自治体の指定ゴミ袋に入る程度のゴミをあらかじめ出しておくだけでも、業者の作業時間を短縮し、見積額を下げる要因となります。また、家電リサイクル法対象の製品や、金属類などの売却可能な資源を切り分けることも有効です。しかし、無理に自分で全てをやろうとして時間をかけすぎると、その間の家賃や精神的な負担が重くのしかかります。全部捨てるという決断をしたならば、複数の業者から相見積もりを取り、サービス内容と価格のバランスを冷静に比較することが重要です。最も避けるべきは、安さだけに惹かれて不法投棄を行うような悪徳業者を選んでしまうことです。高額な費用は、これまでの生活の清算代金であり、新しい人生への投資であると割り切り、信頼できるプロに全てを委ねることが、結果として最も安上がりで確実な解決策となります。私たちは日々、様々なレベルのゴミ屋敷の現場に立ち会っていますが、依頼主に対して「一部を残すか、全部捨てるか」という究極の選択を迫る場面が多々あります。プロの視点から言えば、ある一定のラインを超えた現場では、迷わず「全部捨てる」ことを推奨します。その判断基準の一つは、衛生面です。生ゴミが放置され、害虫が繁殖し、ネズミの糞尿が散乱しているような環境下では、衣類や布団、木製家具などは既に汚染の深部にあります。目に見える汚れを拭き取ったとしても、内部に染み込んだ臭いや菌を取り除くことは困難であり、それらを新しい生活に持ち込むことは健康被害を招く恐れがあります。二つ目の基準は、物の「鮮度」です。ゴミの中に埋もれて数年間使われなかった物は、既にその役割を終えています。特に紙類やプラスチック製品は劣化が進んでおり、本来の機能を果たせなくなっていることが多いのです。三つ目の基準は、住人の心理状態です。片付けに対して強い不安や恐怖を感じている方ほど、一度全処分を行って視覚的な情報をゼロにすることが、精神的な治療に繋がります。全部捨てることは、住人にとって「強制的なリセット」となり、これまでの執着から物理的に引き離されることで、皮肉にも心の平安を取り戻すケースが非常に多いのです。
ゴミ屋敷を全部捨てる際にかかる費用の内訳と節約術