セルフネグレクト(自己放任)の状態が長期化し、誰からの支援も得られないまま放置されると、その先には非常に悲しい結末が待っていることがあります。その一つが「孤独死」です。ゴミ屋敷と孤独死は、残念ながら密接に関連しているケースが少なくありません。セルフネグレクトに陥る背景には、社会的孤立が大きく関わっています。家族や地域社会との繋がりが希薄になり、一人で問題を抱え込んでいる人が多くいます。ゴミ屋敷化が進行すると、家の中に人を招き入れることができなくなり、ますます孤立が深まります。訪問してくる人もいなくなり、外部との接点が完全に途絶えてしまうこともあります。このような孤立した状況下で、セルフネグレクトによる健康状態の悪化が進みます。栄養失調や脱水、持病の悪化、感染症など、様々な健康問題が発生するリスクが高まります。しかし、本人は医療機関を受診する意欲も能力もなく、適切な治療を受けられません。また、ゴミ屋敷という環境自体が、転倒や火災などの事故を引き起こす危険性をはらんでいます。足元が不安定なため転倒しやすく、骨折などの大怪我を負っても、ゴミに埋もれて助けを呼べないこともあります。暖房器具の不適切な使用や漏電などから火災が発生した場合も、避難経路が塞がれていて逃げ遅れる可能性が高いのです。こうして、誰にも気づかれることなく、病気や事故によって自宅で亡くなってしまう。それが孤独死の現実です。発見が遅れれば、遺体の損傷が進み、さらに悲惨な状況となります。ゴミ屋敷とセルフネグレクトは、単なる生活習慣の問題ではなく、命に関わる深刻な問題なのです。この悲劇を防ぐためには、社会全体でセルフネグレクトのリスクに対する認識を高め、孤立している人に早期に気づき、支援の手を差し伸べる体制を強化する必要があります。地域での見守り活動や、医療・福祉・行政の連携強化、そして何よりも、困っている人に寄り添う温かい眼差しが求められています。セルフネグレクトのサインを見逃さないことが、孤独死という最悪の結末を防ぐための第一歩となるのです。