実家がゴミ屋敷になっていた場合、相続放棄をするかどうかの判断において、最も重要な要素の一つが「片付け費用」です。この費用が、他の相続財産の価値を上回るのかどうかが、大きな分かれ道となります。では、ゴミ屋敷の片付け費用はどの程度かかるものなのでしょうか。そして、それを踏まえてどのように相続放棄を判断すれば良いのでしょうか。ゴミ屋敷の片付け費用は、ケースバイケースであり、一概にいくらとは言えません。費用を左右する主な要因としては、家の広さ(間取り)、ゴミの量と種類(生活ゴミ、粗大ゴミ、危険物など)、搬出経路(エレベーターの有無、階段の幅など)、必要な作業員の人数、作業日数、そして特殊清掃(消臭、消毒、害虫駆除など)の有無などが挙げられます。一般的な目安としては、1Kや1Rのような単身者向けの部屋でも数十万円、一軒家となると、ゴミの量や状態によっては100万円を超えることは珍しくなく、場合によっては300万円、500万円といった高額になるケースもあります。正確な費用を知るためには、複数の専門業者に見積もりを依頼するのが最も確実です。現地調査をしてもらい、作業内容と費用の内訳を明記した見積書を取得しましょう。この際、追加料金が発生する可能性についても、どのような場合にいくらかかるのかをしっかり確認しておくことが重要です。片付け費用の見積もりが出たら、次に、ゴミ屋敷以外のプラスの相続財産(預貯金、有価証券、生命保険金、他の不動産など)の価値を調査します。そして、「プラスの財産の合計額」から「ゴミ屋敷の片付け費用(およびその他の負債)」を差し引いてみます。この計算結果がマイナスになる、あるいはプラスになったとしても僅かであり、片付けや管理の手間、精神的負担、将来的なリスクなどを考慮すると割に合わない、と判断される場合に、相続放棄が有力な選択肢となります。逆に、差し引き結果が十分にプラスであり、ゴミ屋敷を片付けて売却したり、活用したりするメリットがあると考えられる場合は、相続するという判断になるでしょう。相続放棄の判断期限は原則3ヶ月と短いため、迅速に財産調査と片付け費用の見積もりを行い、冷静に損得を比較検討することが求められます。判断に迷う場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
ゴミ屋敷片付け費用と相続放棄の判断