ゴミ屋敷と高校生の心見えない葛藤

親が物を溜め込み、家がゴミ屋敷状態になってしまっている。そんな環境で育つ高校生は、心の中に複雑な葛藤を抱えています。周りの友達の家は綺麗なのに、どうして自分の家だけこうなのだろう。その疑問は、やがて自分自身や家族に対する否定的な感情へと繋がっていくことがあります。「こんな家に住んでいる自分が恥ずかしい」「友達に知られたくない」という強い羞恥心は、彼らを孤立させます。学校では明るく振る舞っていても、家に帰ると重苦しい現実に引き戻され、そのギャップに苦しむことも少なくありません。家に友達を呼べないことはもちろん、家庭訪問などを極端に恐れるようになります。親に対する感情も一様ではありません。片付けられない親に対して、怒りや軽蔑を感じる一方で、「親は病気なのかもしれない」「自分がしっかりしなければ」という責任感や、「それでも親だから見捨てられない」という愛情が入り混じり、感情の整理がつかない状態に陥ることがあります。時には、自分が片付けを試みるものの、親の抵抗にあったり、あまりの物の多さに途方に暮れたりして、無力感を味わうことも。「どうせ片付けても無駄だ」という諦めの気持ちが心を支配し、自分自身も部屋を散らかすようになってしまうケースもあります。これは、親への反抗心や、劣悪な環境への適応とも言えるかもしれません。また、ゴミ屋敷という異常な環境が「普通」になってしまい、何が清潔で何が不潔かの基準が曖昧になってしまうこともあります。将来、自分が家庭を持った時に、同じような環境を作ってしまうのではないかという不安を抱える子もいます。このように、ゴミ屋敷で育つ高校生の心の中は、羞恥心、怒り、諦め、不安、そして親への複雑な思いが渦巻いています。彼らは、自分の感情を誰にも打ち明けられず、一人で抱え込んでいることが多いのです。その見えない心の叫びに気づき、寄り添うサポートが求められています。