ゴミ屋敷状態の部屋から退去する際、最も気になるのが費用負担の問題です。通常の退去時に比べて、ゴミ屋敷の場合は様々な費用が発生し、その総額は驚くほど高額になることがあります。一体どのような費用がかかり、なぜ高額になってしまうのでしょうか。その内訳を見ていきましょう。まず、最も大きな割合を占めるのが「ゴミの撤去・処分費用」です。ゴミ屋敷の清掃は、専門業者に依頼するのが一般的ですが、その費用はゴミの量、種類、搬出経路、作業日数などによって大きく変動します。部屋が広かったり、ゴミが天井近くまで積み上がっていたりすると、作業員の人数も多く必要となり、人件費がかさみます。また、家電リサイクル法対象品や粗大ゴミなど、処分に別途費用がかかる物が多い場合も、費用は高くなります。このゴミ撤去・処分費用だけで、数十万円から、ひどい場合には数百万円に達することもあります。次に、「ハウスクリーニング費用」です。ゴミを撤去した後、部屋には長年の汚れや臭いが染み付いています。通常の退去時クリーニングとは異なり、床や壁、水回り、換気扇などにこびりついた頑固な汚れを落とすための「特殊清掃」が必要となる場合が多いです。これには専用の洗剤や機材、そして専門的な技術が必要となるため、通常のハウスクリーニングよりも費用は高額になります。さらに、「消臭・消毒費用」や「害虫駆除費用」も発生することがあります。ゴミ屋敷には強烈な臭いが染み付いていることが多く、特殊な薬剤やオゾン脱臭機などを用いた消臭作業が必要となります。また、ゴキブリやハエ、ダニなどの害虫が大量発生している場合は、徹底的な駆除作業も行わなければなりません。これらの作業にも専門的な技術と費用が必要です。そして最後に、「原状回復費用(修繕費用)」です。ゴミの放置によって床や壁、柱などが腐食したり、シミやカビがひどかったり、設備が破損したりしている場合、それらを修繕するための費用が発生します。壁紙や床材の張り替え、設備の交換などが必要になれば、その費用も数十万円から百万円以上かかる可能性があります。これらの費用が積み重なることで、ゴミ屋敷の退去費用は、敷金だけでは到底賄いきれず、場合によっては数百万円単位の高額請求となることがあるのです。