もしかしたら、自分自身が、あるいは大切な家族が、セルフネグレクト(自己放任)の状態に陥っているのではないか。そう感じた時、不安や戸惑いを覚えるのは当然のことです。しかし、問題を認識することは、解決への大切な第一歩です。セルフネグレクトかもしれないと感じたら、どのように考え、行動すれば良いのでしょうか。まず、自分自身について。「最近、入浴や着替えが面倒になった」「食事を抜くことが増えた」「部屋の片付けやゴミ出しが億劫で、物が溜まってきている」「以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった」「人と会うのが億劫になった」。もし、このような変化に心当たりがあるなら、それは心や体が疲れているサインかもしれません。あるいは、うつ病などの精神的な不調や、何らかの身体的な病気が隠れている可能性もあります。「怠けているだけだ」「自分のせいだ」と自分を責めないでください。そして、一人で抱え込まず、誰かに相談することを考えてみてください。信頼できる友人や家族、あるいはかかりつけ医に話してみるだけでも、気持ちが楽になったり、客観的なアドバイスをもらえたりすることがあります。専門的な相談窓口としては、地域の保健所や精神保健福祉センター、自治体の福祉相談窓口などがあります。次に、家族について。親や兄弟姉妹、あるいは配偶者の様子が以前と変わり、セルフネグレクトが疑われる場合。まずは、心配していることを伝え、本人の話を聞くことから始めましょう。頭ごなしに非難したり、無理に生活態度を改めさせようとしたりするのは逆効果です。本人が何に困っているのか、どう感じているのかを理解しようと努める姿勢が大切です。その上で、一緒に解決策を考えていきましょう。家事の手伝いを申し出たり、医療機関への受診を勧めたりすることも必要かもしれません。しかし、本人が支援を拒否する場合や、家族だけでは対応が難しいと感じる場合は、専門機関の力を借りることが重要です。地域包括支援センター(高齢者の場合)や、市区町村の福祉相談窓口に相談すれば、専門的なアドバイスや、必要なサービスへの紹介などを受けることができます。セルフネグレクトは、放置すれば深刻な事態を招く可能性があります。早期に気づき、適切なサポートに繋げることが、本人と家族の未来を守るために不可欠です。勇気を出して、相談の一歩を踏み出しましょう。