あの頃の私の部屋は、まさに戦場のようでした。床には脱ぎ捨てた服や読みかけの雑誌、コンビニの袋などが散乱し、机の上は書類や得体の知れない物で埋め尽くされていました。なぜそうなってしまったのか。原因は、当時の仕事の過剰なストレスでした。連日の残業とプレッシャーで心身ともに疲れ果て、家に帰ると何もする気が起きませんでした。食事はコンビニ弁当か出前で済ませ、空き容器を捨てることすら億劫でした。休日は、ただひたすら寝ているか、現実逃避のようにネットサーフィンをするだけ。部屋が汚れていくのを認識してはいましたが、「疲れているから仕方ない」「明日やろう」と言い訳を繰り返し、見て見ぬふりをしていました。しかし、部屋が荒れるにつれて、私の心も確実に蝕まれていきました。朝、目が覚めて最初に目にするのが散らかった部屋だと、一日の始まりから気分が落ち込みます。探し物が見つからずイライラすることは日常茶飯事。家にいても全くリラックスできず、むしろ焦燥感や罪悪感に常に駆られていました。「片付けなければ」という思いと、「どうせできない」という諦めが頭の中でぐるぐると回り続け、精神的に休まる暇がありませんでした。友達から「今度遊びに行っていい?」と聞かれるのが一番の苦痛でした。もちろん、こんな部屋を見せるわけにはいきません。適当な理由をつけて断り続けるうちに、だんだんと誘われなくなりました。社会から孤立していくような感覚に、さらにストレスが溜まっていきました。一番つらかったのは、そんな自分自身に対する嫌悪感です。「自分はなんてダメな人間なんだろう」と、毎日自分を責めていました。ストレスから逃れるために部屋を汚し、その汚れた部屋がさらにストレスを生む。完全な悪循環でした。このままではいけない、と頭では分かっていても、体が動かない。あの時の無力感と絶望感は、今でも忘れられません。ある日、あまりの自己嫌悪に耐えきれず、半ば衝動的にゴミ袋を手に取りました。そこから抜け出すまでには長い時間がかかりましたが、あのゴミ屋敷でのストレスまみれの生活は、私にとって大きな教訓となっています。