離れて暮らす親や、同居している高齢の家族の家が、いつの間にかゴミ屋敷のようになっていた。そんな時、家族としてどう関わり、どのような対策を取れば良いのでしょうか。ショックや戸惑いを感じるかもしれませんが、冷静に対応することが大切です。まず重要なのは、ゴミ屋敷という状況だけを見て、一方的に本人を責めないことです。「だらしない」「なぜ片付けられないのか」といった言葉は、本人を傷つけ、心を閉ざさせてしまう可能性があります。ゴミ屋敷化の背景には、加齢による心身機能の低下、病気、孤独感、経済的な問題など、本人だけではどうにもならない事情が隠れていることが多いのです。まずは、本人の話に耳を傾け、なぜそのような状況になったのか、何に困っているのかを理解しようと努める姿勢が大切です。その上で、家族としてできるサポートを考えます。定期的に訪問し、安否確認や声かけを行うことは、本人の孤立感を和らげ、変化に気づくきっかけになります。訪問時には、さりげなく部屋の様子を確認し、ゴミ出しを手伝ったり、簡単な片付けを一緒に行ったりするのも良いでしょう。ただし、本人の意向を無視して勝手に物を捨てたり、無理やり片付けを進めたりするのは避けるべきです。物を溜め込む背景には、本人なりの理由や愛着がある場合もあります。本人の気持ちを尊重し、「これはどうしますか?」「一緒に整理しませんか?」と相談しながら、共同で作業を進めることが、信頼関係を保ちながら状況を改善する鍵となります。もし、本人の認知機能の低下が疑われる場合や、健康状態が悪化している場合、あるいは家族だけでの対応が難しいと感じる場合は、ためらわずに専門機関に相談しましょう。地域包括支援センターは、医療・介護・福祉の専門職が連携して支援策を考えてくれる心強い存在です。ケアマネジャーやかかりつけ医に相談することも有効です。ゴミ屋敷の片付けを専門業者に依頼するという選択肢もありますが、その場合も本人とよく話し合い、納得の上で進めることが大切です。家族だけで抱え込まず、外部のサポートも活用しながら、根気強く、そして愛情を持って関わっていくことが、問題解決への道筋となります。