ゴミ屋敷問題が極限に達してしまった際、最も衝撃的な末路として知られているのが自治体による行政代執行であると言えるでしょう。これは、再三の指導や勧告、そして命令に従わない所有者に代わり、行政が強制的にゴミを撤去し、生活環境を正常化させる法的な手続きを指しています。代執行当日には、多くの作業員や警察官、さらにはマスコミが集まり、周囲の静寂を破るように大量の廃棄物が運び出されます。所有者の抵抗も虚しく、長年積み上げられた「城」は数時間のうちに解体され、更地や空き家へと姿を変えていきます。しかし、本当の悲劇は撤去が終わった後に始まります。代執行にかかった膨大な費用は、全額が所有者に請求されてしまいます。その額は、人件費や処分費を含めて数百万円から、大規模なケースでは一千万円を超えることも珍しくありません。この請求は税金と同様の扱いとなるため、支払い能力がなければ不動産や預貯金の差し押さえが行われ、最終的には家そのものを失う結果を招いてしまいます。ゴミという執着のために、住む場所と全財産を失うという皮肉な結末は、行政代執行が持つ冷徹な側面を浮き彫りにするでしょう。代執行は解決ではなく、所有者にとっての破産や社会的信用の失墜を意味する、文字通りの終着点なのです。ゴミ屋敷が辿る末路の中で、最も悲痛なものが孤独死なのです。社会との接点を絶ち、ゴミの山の中に埋もれて暮らす人々は、健康を害しても誰にも助けを求めることができません。やがて静かに息を引き取った後、異変が察知されるのは、死後数週間から数ヶ月が経過し、強烈な異臭が近隣に漂い始めた頃です。特殊清掃員が踏み込んだ現場には、ゴミの山の一部と化した遺体と、故人の孤独を象徴する遺品の数々が残されています。そこにあるのは、かつて確かに存在した一人の人間の生活の残骸です。ゴミに囲まれて死を迎えるということは、最期の瞬間を誰にも看取られず、尊厳を損なわれた状態で発見されることを意味しています。また、孤独死が発生した後のゴミ屋敷は、事故物件としての扱いとなり、相続人にとって多大な負担を強いることになります。消えない死臭や害虫の被害、そして高額な清掃費用。故人が溜め込んだ物は、遺された人々にとっての重荷へと姿を変えてしまいます。孤独死は、単なる一人の死を超えたもので、崩壊した人間関係と社会的な孤立が招く、ゴミ屋敷の究極の悲劇なのだと言えるでしょう。
行政代執行が下すゴミ屋敷の強制的な幕引きと費用の徴収